2016年10月31日月曜日

大人の塗り絵|配色のヒント④ 安定感とアクティブ感を演出

オレンジ、グリーン、パープルを中心とした花の塗り絵作品
colored by Masumi Chiba

安定感と不安定感という色彩心理を、大人の塗り絵の配色に活かすことも可能です。今回はこの色彩効果を取り入れた塗り絵作品をご紹介します。


■ 色彩心理を塗り絵に取り入れる

上の画像は、ジョハンナ・バスフォードさんの「ふしぎな王国」の中から私が塗ったものです。


・上は明るく、下は暗く

オレンジ、グリーン、パープルの 3色を中心に配色しました。そして、画面全体に安定感が出るよう、明るいオレンジを上に、オレンジよりも暗いグリーンとパープルを下に配置しました。

このように、上方を明るい色、下方を暗い色にすると、安定感が生まれます。これは、色による心理効果の影響です。


・色の軽重感と活用法

色には、軽そうに見える色と、重そうに見える色があります。このような重さに関する感覚を 「軽重感」 といいます。

軽重感には色の明るさ(明度)が関与し、明るい色ほど軽く見えますし、反対に暗い色ほど重く見えます。

また、人は、軽いものが上、重いものが下、という配置から安定感や安心感を受けます。ですから、インテリアカラーも、天井は明るい色、床は暗い色という配色が多いですね。

では、逆のパターンで、上方を暗い色、下方を明るい色にすると どうでしょう?この場合、安定感と反対で、どこか不安定な感じになります。

不安定というと、なんとなくネガティブなイメージがありますが、けっしてそんなことはありません。

不安定、つまり 安定していない感じ は、動的なイメージにつながります。この点を利用して、スポーティーさやダイナミック感をつくることができます。

画面を安定させたいか?それとも アクティブな感じにしたいか?

このような視点から全体的な色の配置を決めるのも一つの方法です。ぜひ一度お試しください。


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2016年10月10日月曜日

大人の塗り絵|配色のヒント③ 進出色・後退色で奥行きを演出する

竹の額縁と植物に囲まれたトラの塗り絵作品
colored by Masumi Chiba

世界的な塗り絵ブーム火付け役、ジョハンナ・バスフォードさんの「ふしぎな王国」の中から一作を塗りました。

今回の狙いは、奥行き感です。


■ 進出色・後退色で奥行きの表現にチャレンジ

・アイディアは「だまし絵」

アイディアとしては、竹で四角く囲まれたユニークなトラの画を、だまし絵(不思議絵)のような雰囲気に仕上げたいと思いました。

そこで、竹の外側を額縁に見立て、額縁から飛び出ている葉は手前に、トラが横たわる草むらは奥に感じるような色使いを考えました。


塗りかけの竹と植物で囲まれたトラの絵の塗り絵

・進出色と後退色

画面の奥行きを作るために使用したのが、進出色と後退色です。

近づいて見える色を進出色、遠ざかって見える色を後退色といいます。

進出色は暖色系の色で、手前に見える効果は、およそ 赤>赤紫>橙>黄色>黄緑 です。
後退色は寒色系の色で、遠ざかって見える効果は、およそ 青>紫>青緑 です。

これらの色の効果を利用して、引っ込めたい中央部分は緑に青を重ね、近づけたい周りの部分は黄色系の額縁とし、さらに赤紫、橙、黄緑を配置しました。

さて、その結果はいかがでしょう?奥行きを感じていただけると嬉しいのですが…。


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2016年9月5日月曜日

大人の塗り絵|配色のヒント② トーンを揃えて統一感を出す

猫と花のリースを淡いトーンでまとめた塗り絵作品
colored by Masumi Chiba

楽しみ、リラクゼーション、そして脳トレにもなる大人の塗り絵。今回は、色のトーンを重視して塗った作品をご紹介します。


■ 色数が多くても、トーンでまとまりを表現

画像の作品では、全体の色のトーン(色調)を重視して色を選びました。


アビシニアン風の猫を淡いトーンで塗り進めている写真

はじめに、中央に位置する主役のネコはアビシニアンをイメージして明るい茶系と決めたので、この色に合わせて明るいトーンで統一感を作ることにしました。

トーン(色調)が近い色を用いて全体をまとめる配色を「類似トーン配色」、あるいは「ドミナントトーン配色」といいます。トーンによるまとまりが得られる配色です。

ネコを囲むリースにはさまざまな種類の葉や花々が描かれていますが、それらをみな違う色で塗りました。

色が多彩でも、すべて淡いトーンに揃えたため、どれか一つが目立つことなくまとまりが感じられます。

全体の統一感を出したい場合は、このように色のトーンをまとめるのも一つの方法です。

色数が多くてまとめにくい時などに、ぜひ一度試してみてください。バラバラな色が不思議とまとまるでしょう。


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2016年8月4日木曜日

カラーコーディネート|カラーイメージ⑥ エレガント

エレガントなカラーイメージを表すパープル系の配色と色鉛筆の写真
by Masumi Chiba

カラーコーディネート講座のカラーイメージ編、前回のロマンティック・イメージに引き続き、今回ご紹介するのはエレガント・イメージです。


上品なエレガント・イメージづくりのポイント

エレガント・イメージは、ロマンティック・イメージと同じく女性らしさを感じるイメージです。しかし、ロマンティックが少女的であるなら、エレガントは大人の女性の雰囲気。甘さをおさえた印象です。
ポイントは・・・

■ 主なイメージ

女性らしい、気品のある、洗練された、優雅な ・・・

■ 中心となる色相

パープル系が中心で、青紫、紫、赤紫など



■ 中心となるトーン

ペールトーン、ライトトーン、ライトグレイッシュ、ブライト



■ 配色の特徴

パープル系の類似色相でまとめます。アクセントカラーは強調色を用いず、反対になじみ過ぎることもないよう注意します。

ロマンチック・イメージと比較すると、配色のイメージをつかみやすいと思います。

ファッションでは、シルクのように柔らかで光沢のある素材がエレガントなイメージをより演出します。



あまり繊細にならないように、シンプルなラインを活かしたり、中くらいの大きさの花柄にするなどして、大人っぽくまとめると素敵です。

【カラーイメージ⑥/全6回】エレガント


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2016年6月26日日曜日

NHK仙台「てれまさむね」に出演|大人の塗り絵の魅力を紹介しました


NHK仙台「てれまさむね」の大人の塗り絵特集で紹介された塗り絵作品

先日、テレビ番組の大人の塗り絵特集に出演しました。NHK仙台で放送中のニュース番組「てれまさむね」の「まちかど キャッチ」というコーナーで、大人の塗り絵人気を取り上げた際のことです。

私が塗り絵を使った講座を行っていることから、ご依頼をいただきました。


■ 番組内で塗り絵をレクチャー

番組では、各種塗り絵本を取り扱っている書店の方、塗り絵にハマっている方のインタビューに続き、私の作品やレクチャーの様子が紹介されました。

このレクチャーは事前に収録したもので、大人の塗り絵は初めてとおっしゃるNHK仙台放送局の吉田さん(とても素敵な方です!)に簡単な塗り方のコツをご説明している光景です。


NHK仙台「てれまさむね」で塗り絵をレクチャーする様子

吉田さんが選ばれたのは、大人の塗り絵の火付け役「ひみつの花園」のバラのような花の図案でした。

主役となる大輪の花を赤~黄色のグラデーションに、そして葉や茎の色に選ばれたのは 紫色。このように遊び心のある自由な色選びができる点が、大人の塗り絵の魅力の一つです。

出来上がった作品はとても神秘的な雰囲気に…。


■ 塗り絵は一挙三得!

色彩感覚は、色を選ぶ・組み合わせるという作業を繰りかえすことによって磨かれていきます。

ということは、大人の塗り絵は、完成までの経過を楽しむ、ストレス解消や脳トレにもなる、おまけに色彩感覚も磨けてしまうという、一挙三得の趣味になりうるのです。

番組の中でもお伝えしましたが、ぜひ一度、塗り絵を試してみていただければと思っています。




2016年6月20日月曜日

カラーコーディネート|カラーイメージ⑤ ロマンティック


ロマンティックな色合いを表現した塗り絵モチーフとピンク系色鉛筆の写真
by Masumi Chiba

「カラーコーディネート講座/カラーイメージ編」 、今回はロマンティック・イメージです。


愛らしいロマンティック・イメージをつくる配色

ロマンティック・イメージは、柔らかで、優しい、ふわっとしたイメージ。季節でいうと春先の雰囲気ですね。
ポイントは・・・


■ 主なイメージ

可愛い、 愛らしい、 可憐な ・・・


■ 中心となる色相

赤紫、 赤、 赤みのだいだい、黄みのだいだい、 ホワイト



■ 中心となるトーン

ペールトーン、 ライトトーン



■ 配色の特徴

ピンク(ペールトーン、またはライトトーンの赤紫~赤)を中心に構成すると効果的です。アクセントカラーは用いずに穏やかな組み合わせにします。

クリア・イメージと比較すると、色の感じがつかみやすいと思います。

ファッションでは、柔らかで透明感のある素材がピッタリです。小物類もレース、シフォン、ビーズなど繊細なデザインものがよく似合います。



このような色調に囲まれると、優しい気持ちになれそうです。

【カラーイメージ⑤/全6回】ロマンティック


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2016年6月14日火曜日

カラーコーディネート|カラーイメージ④ クリア

明るく爽やかなクリアイメージを表現した塗り絵と青系色鉛筆の写真
by Masumi Chiba

「カラーコーディネート講座/カラーイメージ編」 、今回取り上げるのはクリア・イメージです。


爽やかなクリア・イメージをつくる色合わせ

さわやかで澄んだイメージ、あるいは涼しげなイメージで、夏にピッタリの配色です。
ポイントは・・・

■ 主なイメージ

明るい、 さわやかな、 透明感のある ・・・

■ 中心となる色相

ブルーグリーン系、 ブルー系 (青緑~青)、 ホワイト



■ 中心となるトーン

ペールトーン、 ライトトーン



■ 配色の特徴

全体的に明るい印象となるように、明るい色どうしを組み合わせます。アクセントカラーは主張させず、なじませて。

フレッシュナチュラル・イメージと比較すると、色の感じがつかみやすいと思います。

ファッションでは、光沢感や透明感のある素材を用いると、よりクリアな雰囲気となります。



アクセサリーも、ビジューやクリスタルビーズなど透き通ったものがよく似合います。

梅雨の季節も、さわやかに過ごせそうな配色ですね。

【カラーイメージ④/全6回】クリア


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2016年6月6日月曜日

大人の塗り絵|配色のヒント① ナチュラル・イメージで優しくまとめる

柔らかな黄色の体と草花模様の眠るキツネの塗り絵
colored by Masumi Chiba

塗り絵の配色、他の人はどのように決めているのだろう?-こんな疑問を持ったことはありませんか?

私を含め、多くの方が同じ思いを持っていらっしゃると思います。

自分の中から生まれるアイディアに加え、他の人の発想を知ることで、色選びの幅は広がります。

そこで、私の色のアイディアを、このブログでご紹介していきたいと思います。読んでくださった方の新しい色選びのヒントになれば大変嬉しいです。


■ 眠るキツネをナチュラルな配色で

上の画像の塗り絵で、最初に決めた色はきつねの体のソフトイエローです。リアルなキツネの色よりも、明るくふんわりとした雰囲気にしたいと思い、柔らかな黄色を選びました。

そして、身体に描かれた模様の色は、ナチュラルなイメージを狙いました。

ナチュラル・イメージは、草木など自然の色を取り入れた配色です。比較的明るいトーンで、グリーン系や黄色、橙色などを組み合わせます。
さわやか過ぎず、落ち着き過ぎず、優しげに。

塗り始める前は、このキツネを赤や青の宝石をちりばめたお人形のように仕上げるというアイディアも持っていましたが、この寝顔を見ているうちにナチュラルな配色を選んでしまいました。結果的に、それで良かったのではないかと思っています。

線画の穏やかで優しい雰囲気から選んだナチュラルな配色の作品、私のお気に入りの一枚となりました。


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2016年5月30日月曜日

カラーコーディネート|カラーイメージ③ ウォームナチュラル

ウォームナチュラル配色を示す塗り絵モチーフとブラウン系色鉛筆の写真
by Masumi Chiba

カラーコーディネート講座のカラーイメージ編は、前回のフレッシュナチュラル・イメージに引き続き、今回はウォームナチュラル・イメージです。


ウォーム+ナチュラルなカラーイメージの作り方

ウォームナチュラルは、その名の通り温かみのある配色です。
フレッシュナチュラルが明るい春のイメージなら、ウォームナチュラルは落ち着いた秋のイメージ。ポイントは・・・

■ 主なイメージ

穏やかな、素朴な、温もりのある ・・・

■ 中心となる色相

オレンジ系~グリーン系(だいだい~黄~黄緑~緑)


12色相を環状に並べた色相環

■ 中心となるトーン

ペール、 ライトグレイッシュ、 ソフト、ダル、 ディープ、ダーク


トーンの明度・彩度を示すトーンマップ

■ 配色の特徴

ベージュ系の色をベースカラーに、中間色を用いて穏やかにまとめます。アクセントカラーは無くてもOK。

山や田園風景など、自然の彩りを感じさせる配色です。
これをファッションに応用すると、例えば、こんな感じです。


ォームナチュラル配色を使った秋冬ファッションコーディネート例

温かみのある雰囲気、 感じますね。

この例は秋冬のファッションですが、ペール、ライトグレイッシュなど明るいトーンなら、春夏ファッションに取り入れるのも素敵です。

【カラーイメージ③/全6回】ウォームナチュラル

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2016年5月23日月曜日

カラーコーディネート|カラーイメージ② フレッシュナチュラル

葉のモチーフの塗り絵と青緑系の色鉛筆の写真(フレッシュナチュラルの配色例)
by Masumi Chiba

ブログでの「カラーコーディネート講座」は、今回からカラーイメージの具体的な表現方法に進みます。


フレッシュ+ナチュラルなカラーイメージ

今回取り上げるのは、フレッシュナチュラル・イメージです。
ポイントは次の通りです。

■ 主なイメージ

若々しい、新鮮な、さわやかな ・・・

■ 中心となる色相

グリーン系(黄緑~緑~青緑~緑みの青)


■ 中心となるトーン

ペール、ライト、ブライト、ホワイト、ライトグレイよりも明るくホワイトに近いグレイ



■ 配色の特徴

明るい色をベースカラーにして、メリハリを抑えた組み合わせに。
アクセントカラーも強すぎないようになじませる。

「ナチュラル」という言葉から連想される穏やかで自然な感じになるよう、グリーン系を取り入れて明るくまとめましょう。

【カラーイメージ②/全6回】フレッシュナチュラル


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2016年5月16日月曜日

カラーコーディネート|カラーイメージ① 色の組み合わせでイメージが広がる

塗り絵のモチーフと青系の色鉛筆を写した写真(カラーイメージの例)
by Masumi Chiba

ブログでの 「カラーコーディネート講座」 は、カラーイメージに話を進めてまいります。


色の組合せでカラーイメージは広がる

「カラーイメージ」 というと、
赤 : 情熱的な、活動的な・・・
黄 : 明るい、朗らかな・・・
-と、単色のイメージを連想される方が多いと思います。

しかし、ここでは配色によるイメージづくりを取り上げます。具体的にどういうことかといいますと・・・

」 という一つの色も、白と組み合わせた場合と、黒と組み合わせた場合では、全く印象が違います。赤・白の組み合わせならカジュアルでスポーティーなイメージ、赤・黒の組み合わせでは重厚でゴージャスなイメージとなります。

このように、色の組み合わせ方(=配色)によってイメージをつくることができます。そこで、あるイメージを表現するにはどんな配色にすれば良いのかを、代表的なイメージについて解説してまいります。

このカラーイメージは、ファッションはもちろん、インテリア、デザイン、フラワーなどさまざまな分野で応用可能です。

配色例として、同じ図案を各イメージに塗り分けてアップしますので、コロリアージュ(大人のぬり絵)好きの方もお楽しみいただけると思います。

【カラーイメージ①/全6回】色の組み合わせでイメージが広がる


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