2026年8月26日水曜日

「不調和の調和」とは?~調和の先にある魅力

色とりどりの花を集めた花束(AIによる生成画像)

前回の記事「ナチュラルハーモニーとコンプレックスハーモニー」では、コンプレックスハーモニーは「不調和の調和」とも呼ばれることについて触れました。

色彩検定2級の試験では、「『不調和の調和』」といえば「コンプレックスハーモニー」と捉えていただいてよいでしょう。ただし、この言葉にはさらに広い意味があります。

そこで今回は、「不調和の調和」が指し示す内容について、もう少し掘り下げていきます。

▼前回の記事はこちらからどうぞ
「ナチュラルハーモニーとコンプレックスハーモニー」


「不調和の調和」とは

「不調和の調和」は配色に限ったことばではありません。音楽やアート、文学などの世界でも使われている表現です。音では不協和音、文学では矛盾を含んだ表現などが、その一例として挙げられます。

どの分野においても、一定のルールに基づく整然とした美しさ(調和)から外れた違和感や意外性から生じる魅力が感じられます。コンプレックスハーモニーも、自然な色の見え方と異なることに、新鮮さがあります。

そう考えると、コンプレックスハーモニーに限らず、色彩調和をつくる配色から少しはみ出せば、「不調和の調和」と呼べる配色になりそうです。具体的な例を考えてみましょう。


「不調和の調和」の配色例

身近な「不調和の調和」による配色例として、ファッションでのイエローベース(イエベ)とブルーベース(ブルベ)を組み合わせたコーディネートが挙げられます。

青みを感じるネイビーのスーツに、黄みの強いブラウンの靴を合わせる。黄みを感じるブラウン系やオレンジ系のメイクに、青みピンクのリップカラーを合わせるなどの組み合わせは、多くの方が取り入れていると思います。これらは、調和する色の系統から少し外れていて、「不調和の調和」と呼べる配色と言えます。

その他、3色以上の配色の場合、類似色相配色の一色だけを中差色相にしてみる、同一トーン配色の一色だけを類似トーンにするなど、少しだけ色を外すことでも「不調和の調和」の効果が得られます。


AIが描く「不調和の調和」

さて、「不調和の調和」をAIはどう捉えているかを探るため、画像生成の実験をしてみました。AIのGeminiに対し、「花束の画像を生成して欲しい。複数の色合いの花が入ったもので、『不調和の調和』を取り入れた配色で。」という指示(プロンプト)を与えて、生成されたものがトップの画像です。

さらに、「この画像で、『不調和の調和』は、どのように反映されているか?」とGeminiに尋ねたところ、次のような回答でした。

・色相環の対立(補色・複雑な多色配色)
・トーンのアンバランス(明度・彩度の不揃い)
・形態と質感の対比

一見すると配色理論における「調和ルール(類似色や一定のトーン統一)」からは外れた対立・衝突のある組み合わせですが、それぞれの強い色彩と形状が拮抗し合うことで、洗練された一つの大きな花束として成り立たせています。

このようにGeminiは、色彩調和のルールからはみ出し、さらには要素を対立させることで「不調和の調和」を表現しました。

はっきりとした対立関係や対比は「不調和の調和」に含まれるのか、あるいは、そのまま「対比による調和」と呼ぶべきかという点は、悩むところです。

私自身は、「不調和の調和」は対比のもっと手前にあり、違和感として捉えられる程度の小さなズレの範囲という感覚を持っています。そのため、Geminiによる色彩表現は、調和をはみ出すという方向性においては想定内ですが、少し行き過ぎてしまったように思いました。


「調和」の一歩先にある魅力

「不調和の調和」は、一見難しそうですが、調和からはみ出た魅力と捉えると、わりと身近に感じられます。

ただし、「不調和の調和」をつくる、すなわち調和をはみ出すためには、まず調和が必要です。調和について理解し、調和を得る方法を知った上でこそ、外すことができます。

「不調和の調和」は、調和による美しさの一歩先にある美しさなのかもしれません。


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