今回もご覧いただき、ありがとうございます。
シリーズ「AIに色は伝わるか?」第5回は、外国語由来の慣用色名を使用しての検証です。AIにとっては、日本の伝統色名よりも外国語―特に英語由来の色名の方が伝わりやすいイメージがありますが、実際はどうでしょうか。
■ 実験概要
- 使用したAIは ChatGPT、Gemini、Copilot の3種類です。
- それぞれに同じプロンプトを入力し、生成された画像を比較します。
- この実験は、AIに優劣をつけるものではなく、特徴比較を目的としています。
■ プロンプトと基準になる色
今回は次のプロンプトで3つのAIに画像生成を指示しました。
「次の画像を、画像サイズ4:3、横長で、生成してください。
壁の前に2人掛けの足つきソファーがあり、ソファーの上には2つのクッションが右側に寄せて置かれている。
壁の色はエクルベージュ、床の色はアンバー、ソファーの色はオールドローズ、クッションの色はシャトルーズグリーン。
正面から見たところ。」
プロンプトに使用した色は、それぞれ次のような色合いです。実際の色は4枚目の画像を参照してください。
・エクルベージュ:うすい赤みの黄
・アンバー:くすんだ赤みの黄
・オールドローズ:やわらかい赤
・シャトルーズグリーン:明るい黄緑
■ 生成された画像の比較
【ChatGPT】
ChatGPTは上記のプロンプトでエラーとなり、画像が生成されませんでした。
試しに、「エクルベージュ(うすい赤みの黄)」「エクルベージュ(ecru beige)」と、色の情報や英語表記(ecru beigeの語源はフランス語)を付け加えてみましたが、結果は同じでした。
画像が2枚では物足りないので、代わりにGrokでも試しましたので、次に画像を掲載します。
【Grok】
→ 画面の左側(窓側)の色合いを基準色と比較すると、アンバーとオールドローズが少々黄み寄りの明るい色合いになっている。エクルベージュとシャトルーズグリーン(クッションの明るい部分)は基準色に近い。
【Gemini】
![]() |
→ エクルベージュはグレーがかっていて、オールドローズは黄み寄り。アンバーとシャトルーズグリーンも若干黄み寄り。
【Copilot】
→ アンバーは基準色に近いが、他の3色は黄み寄りで少々暗い色調でまとめられている。
※ 下の画像の色を基準にして、それぞれの色と比較しています。
■ 気づきと感想
(気づいたこと)
① 3枚とも指定された色についてほぼ再現できている。
② ソファーの生地の質感が三者三様で、Grokは柔らかさ、Geminiは光沢、Copilotは張り感が強調されているようである。
③ 2つと指示したクッションも、Grokは3つに、Copilotは大小2つ描かれ、違いが見られた。
今回はChatGPT のエラーに驚きました。これに対し他の3つのAIは、色の幅はあるものの、ほぼ対応できていたため、色名での色指定はAIによって得意・不得意があると推測されます。
また、Grokが描いた窓、ソファーの質感の違いなど、シンプルなお題にも各AIの個性が現れていて、面白いと感じました。
■ まとめ
これまで、三原色(赤・黄・青)、ピンクとみずいろ、PCCSによる色の表示、伝統色(和の色)、そして今回の外国語由来の慣用色名と、5回にわたりAIの色再現について実験をしてきました。
大まかに結果をまとめると、次の通りです。
・三原色(赤・黄・青):〇
・ピンクとみずいろ:〇
・PCCSによる色の表示:△
・伝統色(和の色):〇
・外国語由来の慣用色名:△(不可の場合あり)
三原色や、ピンク・みずいろのように、一般的に認知度が高い色名はAIの理解度も高く、色名だけの指示でも一定レベル以上の色再現が可能なようです。
その他については、色名の認知度、AIの得意・不得意、AIによる色の演出などにより、表現される色に差が出ると思われますので、確実な色再現には、Webカラー用カラーコード(RGB、Hex)を加えるなどの工夫がおすすめです。
この後も、AIによる配色実験などを企画中ですので、引き続きこちらのブログをチェックしていただけると嬉しいです!
🔗 関連リンクやおすすめ記事紹介
▶ 記事「【シリーズ・AIに色は伝わるか?】画像生成と色の実験をはじめます!」
▶ 記事「【シリーズ・AIに色は伝わるか?】第1回 三原色(赤・黄・青)の再現度チェック」
▶ 記事「【シリーズ・AIに色は伝わるか?】第2回 人気色・ピンクとみずいろの色合いは?」
▶ 記事「【シリーズ・AIに色は伝わるか?】第3回 PCCSによる色の表示は伝わるか?」
▶ 記事「【シリーズ・AIに色は伝わるか?】第4回 伝統色(和の色)」
▶ 色の感性ブログ「IROKORO・色でココロ、ワクワク」
▶ note (色に関するコラムなど)