2025年9月26日金曜日

【シリーズ・AIに色は伝わるか?】第5回 外国語由来の慣用色名


今回もご覧いただき、ありがとうございます。

シリーズ「AIに色は伝わるか?」第5回は、外国語由来の慣用色名を使用しての検証です。AIにとっては、日本の伝統色名よりも外国語―特に英語由来の色名の方が伝わりやすいイメージがありますが、実際はどうでしょうか。


■ 実験概要

  • 使用したAIは ChatGPT、Gemini、Copilot の3種類です。
  • それぞれに同じプロンプトを入力し、生成された画像を比較します。
  • この実験は、AIに優劣をつけるものではなく、特徴比較を目的としています。

■ プロンプトと基準になる色

今回は次のプロンプトで3つのAIに画像生成を指示しました。

「次の画像を、画像サイズ4:3、横長で、生成してください。
壁の前に2人掛けの足つきソファーがあり、ソファーの上には2つのクッションが右側に寄せて置かれている。
壁の色はエクルベージュ、床の色はアンバー、ソファーの色はオールドローズ、クッションの色はシャトルーズグリーン。 正面から見たところ。」

プロンプトに使用した色は、それぞれ次のような色合いです。実際の色は4枚目の画像を参照してください。

 ・エクルベージュ:うすい赤みの黄
 ・アンバー:くすんだ赤みの黄
 ・オールドローズ:やわらかい赤
 ・シャトルーズグリーン:明るい黄緑


■ 生成された画像の比較

【ChatGPT】

ChatGPTは上記のプロンプトでエラーとなり、画像が生成されませんでした。

試しに、「エクルベージュ(うすい赤みの黄)」「エクルベージュ(ecru beige)」と、色の情報や英語表記(ecru beigeの語源はフランス語)を付け加えてみましたが、結果は同じでした。

画像が2枚では物足りないので、代わりにGrokでも試しましたので、次に画像を掲載します。


【Grok】
色のトリセツ

   → 画面の左側(窓側)の色合いを基準色と比較すると、アンバーとオールドローズが少々黄み寄りの明るい色合いになっている。エクルベージュとシャトルーズグリーン(クッションの明るい部分)は基準色に近い。


【Gemini】
色のトリセツ

   → エクルベージュはグレーがかっていて、オールドローズは黄み寄り。アンバーとシャトルーズグリーンも若干黄み寄り。


【Copilot】
色のトリセツ

   → アンバーは基準色に近いが、他の3色は黄み寄りで少々暗い色調でまとめられている。


  ※ 下の画像の色を基準にして、それぞれの色と比較しています。

色のトリセツ

■ 気づきと感想

(気づいたこと)

① 3枚とも指定された色についてほぼ再現できている。

② ソファーの生地の質感が三者三様で、Grokは柔らかさ、Geminiは光沢、Copilotは張り感が強調されているようである。

③ 2つと指示したクッションも、Grokは3つに、Copilotは大小2つ描かれ、違いが見られた。


今回はChatGPT のエラーに驚きました。これに対し他の3つのAIは、色の幅はあるものの、ほぼ対応できていたため、色名での色指定はAIによって得意・不得意があると推測されます。

また、Grokが描いた窓、ソファーの質感の違いなど、シンプルなお題にも各AIの個性が現れていて、面白いと感じました。


■ まとめ

これまで、三原色(赤・黄・青)、ピンクとみずいろ、PCCSによる色の表示、伝統色(和の色)、そして今回の外国語由来の慣用色名と、5回にわたりAIの色再現について実験をしてきました。

大まかに結果をまとめると、次の通りです。

・三原色(赤・黄・青):〇
・ピンクとみずいろ:〇
・PCCSによる色の表示:△
・伝統色(和の色):〇
・外国語由来の慣用色名:△(不可の場合あり)

三原色や、ピンク・みずいろのように、一般的に認知度が高い色名はAIの理解度も高く、色名だけの指示でも一定レベル以上の色再現が可能なようです。

その他については、色名の認知度、AIの得意・不得意、AIによる色の演出などにより、表現される色に差が出ると思われますので、確実な色再現には、Webカラー用カラーコード(RGB、Hex)を加えるなどの工夫がおすすめです。


この後も、AIによる配色実験などを企画中ですので、引き続きこちらのブログをチェックしていただけると嬉しいです!


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