ご覧いただき、ありがとうございます。カラーリストの千葉真須美です。
シリーズ「AIに色は伝わるか?」、第4回となる今回は伝統色を取り上げ、日本の伝統色名がどれだけAIに伝わるかを検証します。伝統色名は普段の生活では聞かれないものも多いので、AIがどう再現してくれるのか興味津々で試してみました。
■ 実験概要
- 使用したAIは ChatGPT、Gemini、Copilot の3種類です。
- それぞれに同じプロンプトを入力し、生成された画像を比較します。
- この実験は、AIに優劣をつけるものではなく、特徴比較を目的としています。
■ プロンプト
今回は次のプロンプトで3つのAIに画像生成を指示しました。
「次の画像を、画像サイズ4:3、横長で、生成してください。
扇子が開いた状態で2枚並んでいるのを上から見た状態。
左側は上向きで、右側は下向き。
扇子は無地で、左側は松葉色、右側は菫色、背景は苅安色。」
プロンプトに使用した各伝統色は、次のような色合いです。実際の色は4枚目の画像を参照してください。
・松葉色:くすんだ黄緑
・菫色:あざやかな青紫
・苅安色:うすい緑みの黄
■ 生成された画像の比較
【ChatGPT】
→ 三色ともほぼ指定通りだが、背景の苅安色が若干赤み寄りである。
【Gemini】
→ 全体的に鮮やかさ(彩度)が増している。松葉色は青緑に近い色合いで、苅安色は若干赤み寄り。
【Copilot】
→ 松葉色は緑色で若干鮮やかに、菫色は彩度が抑えられている。苅安色は赤み寄り。
※ 下の画像の色を基準にして、それぞれの色と比較しています。
■ 気づきと感想
(気づいたこと)
① 3枚とも指定された色の特徴はほぼ表現できている。
② ChatGPTとCopilotは扇子の形や配置がプロンプト通りではなかった。
③ Geminiは背景に畳が描かれていて、プロンプトの内容を理解した上での演出が加わっている。
AIが伝統色名に苦戦することを予想していましたが、3枚ともなかなかの出来だと思いました。松葉色、菫色については、「松葉」「菫」という言葉そのものが色のヒントになったのかもしれません。
Geminiの畳を描く演出が面白いのですが、扇子がより鮮やかな色合いで、色の柔らかさが表現されなかったのが残念です。全体的に柔らかな雰囲気が出ているのはCopilotでした。ChatGPTはその中間です。
色の指定をしなかった扇子の骨は、それぞれに異なる色となり、各AIの個性が出ていると思います。Copilotは扇子の形がユニークですね。
次回は、アンバー、オールドローズなど、外国語由来の慣用色名でAIが色表現できるかを試します。お楽しみに!
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