2025年9月20日土曜日

【シリーズ・AIに色は伝わるか?】第4回 伝統色(和の色)


ご覧いただき、ありがとうございます。カラーリストの千葉真須美です。

シリーズ「AIに色は伝わるか?」、第4回となる今回は伝統色を取り上げ、日本の伝統色名がどれだけAIに伝わるかを検証します。伝統色名は普段の生活では聞かれないものも多いので、AIがどう再現してくれるのか興味津々で試してみました。


■ 実験概要

  • 使用したAIは ChatGPT、Gemini、Copilot の3種類です。
  • それぞれに同じプロンプトを入力し、生成された画像を比較します。
  • この実験は、AIに優劣をつけるものではなく、特徴比較を目的としています。

■ プロンプト

今回は次のプロンプトで3つのAIに画像生成を指示しました。

「次の画像を、画像サイズ4:3、横長で、生成してください。
扇子が開いた状態で2枚並んでいるのを上から見た状態。
左側は上向きで、右側は下向き。
扇子は無地で、左側は松葉色、右側は菫色、背景は苅安色。」

プロンプトに使用した各伝統色は、次のような色合いです。実際の色は4枚目の画像を参照してください。

・松葉色:くすんだ黄緑
・菫色:あざやかな青紫
・苅安色:うすい緑みの黄


■ 生成された画像の比較

【ChatGPT】

色のトリセツ

   → 三色ともほぼ指定通りだが、背景の苅安色が若干赤み寄りである。


【Gemini】
色のトリセツ

   → 全体的に鮮やかさ(彩度)が増している。松葉色は青緑に近い色合いで、苅安色は若干赤み寄り。


【Copilot】
色のトリセツ

   → 松葉色は緑色で若干鮮やかに、菫色は彩度が抑えられている。苅安色は赤み寄り。


  ※ 下の画像の色を基準にして、それぞれの色と比較しています。

色のトリセツ

■ 気づきと感想

(気づいたこと)

① 3枚とも指定された色の特徴はほぼ表現できている。

② ChatGPTとCopilotは扇子の形や配置がプロンプト通りではなかった。

③ Geminiは背景に畳が描かれていて、プロンプトの内容を理解した上での演出が加わっている。


AIが伝統色名に苦戦することを予想していましたが、3枚ともなかなかの出来だと思いました。松葉色、菫色については、「松葉」「菫」という言葉そのものが色のヒントになったのかもしれません。

Geminiの畳を描く演出が面白いのですが、扇子がより鮮やかな色合いで、色の柔らかさが表現されなかったのが残念です。全体的に柔らかな雰囲気が出ているのはCopilotでした。ChatGPTはその中間です。

色の指定をしなかった扇子の骨は、それぞれに異なる色となり、各AIの個性が出ていると思います。Copilotは扇子の形がユニークですね。

次回は、アンバー、オールドローズなど、外国語由来の慣用色名でAIが色表現できるかを試します。お楽しみに!


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