ご覧いただき、ありがとうございます。カラーリストの千葉真須美です。
シリーズ「AIに色は伝わるか?」、第3回目はPCCSによる色の表示がAIに伝わるかどうかを検証します。PCCS(日本色研配色体系)は、色彩教育や検定で広く使われていますが、Webカラーとは体系が異なりますので、AIには少し難しいかもしれません。
■ 実験概要
- 使用したAIは ChatGPT、Gemini、Copilot の3種類です。
- それぞれに同じプロンプトを入力し、生成された画像を比較します。
 
- この実験は、AIに優劣をつけるものではなく、特徴比較を目的としています。
■ プロンプト
今回は次のプロンプトで3つのAIに画像生成を指示しました。
    「次の画像を、画像サイズ4:3、横長で、生成してください。
リボンをかけたプレゼントのパッケージが2つ並んでいる。
左側は正四角柱型で、包装紙の色がPCCSのb16、リボンの色はPCCSのW、
右側は円柱型で、包装紙の色がPCCSのv4、リボンの色はPCCSのdk24、
背景はPCCSのltg8。斜め上から見たところ。」  
プロンプトに使用したPCCSの各記号のアルファベットと数字は、下記の通りそれぞれ色のトーンと色相を示しています。実際の色は4枚目の画像を参照してください。
- b16 :ブライト 緑みの青
- W :白
- v4 :ビビッド 赤みの橙
- dk24:ダーク 赤紫
- ltg8:ライトグレイッシュ 黄
■ 生成された画像の比較
【ChatGPT】
→ 全体的に明るめで、左側の箱のみトーンが暗い。左側の白いリボンは黄みを帯び、右側のリボンは指定した赤紫ではなく緑になっている。
【Gemini】
→ 左側の箱は少々緑寄りで、トーンが暗い。右側の箱は指定した赤みの橙が紫に、背景は黄色系から赤紫系へと色相が変わっている。2つのリボンはほぼ指定通り。
【Copilot】
→ 全体的に指定した色に最も近いが、明るく調整されている。左側の白いリボンは黄み寄りに、右側のリボンは指定の赤紫よりも赤に近い。
※ 下の画像の色を基準にして、それぞれの色と比較しています。
■ 気づきと感想
(気づいたこと)
① 色が明らかに違っているものが見られる。
② トーンもこれまでで一番基準色と差がある。
③ Geminiの革のようなリボン、Copilotの光沢のあるリボンなど、質感が表現されている。(一部のリボンが不思議な形をしていますが、そこはご愛嬌ということで…)
①②の結果を見ると、予想通りPCCSの色の表示はAIに伝わりにくいことが分かりました。プロンプトでPCCSを使用して色指定をすると、大きく異なる色相やトーンになる場合があるので、「v4」ならば「鮮やかな赤みの橙」と「形容詞+色名」で伝える方が再現性が高そうです。
しかし、AIは急速に進歩していますので、AIがPCCSのデータをしっかり取り込んでWebカラーに変換し、正確に色表現ができるようになる日はそう遠くないと思います。
現在、確実に色の指定をしたいのであれば、RGBやHexといったWebカラー用のカラーコードが最適ですが、このシリーズでは「ことば」による色指定にこだわって、実験を続けたいと思います。
次回は、伝統色(和の色)の色の名前でAIが色表現できるかを試します。
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