原田マハ「サロメ」(文庫本) |
ご覧くださって、ありがとうございます。
カラーリスト・色彩講師の千葉真須美です。
今回は、原田マハ 著「サロメ」の大変魅惑的な装丁を取り上げます。
この作品は画家ビアズリーと姉、そしてオスカー・ワイルドの
関係を中心とした物語で、装丁に使われている絵は、
もちろんビアズリーが描いた「サロメ」からの一枚です。
黄色と黒の配色が伝えること
ビアズリー作品(左)「サロメ」より、(右)イエロー・ブック表紙 |
■ 「イエロー・ブック」の黄色を取り入れて
もとの作品は白黒ですが(写真左)、装丁デザインでは
白の代わりにビビッドな黄色が使われています。
この色使いは、ビアズリーが表紙を手掛けた季刊誌
「イエロー・ブック(The Yellow Book)」(画像右)を
再現しているようです。
■ 黄色+黒 から伝わるイメージ
黄色と黒は 誘目性(=人の目を引きつける度合い)が
大変高い組合せで、「注意」を表す配色でもあります。
踏切の遮断器など危険を知らせる表示に用いられていますね。
そのため、この配色を見ると、多少なりともどこか危ない
イメージが思い浮かぶのではないでしょうか。
また、この2色は明度、彩度の差が大きくダイナミックな配色なので、
ビアズリーの繊細で妖しい線画にドラマチックな雰囲気を加えています。
まとめると、この装丁の黄色と黒の配色は、人の注意を引きつけ、
ビアズリーの「イエロー・ブック」との関連性を示しながら
物語のドラマ性を伝える役割を果たしていると言えます。
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