ご覧くださって、ありがとうございます。
カラーリスト・色彩講師の 千葉真須美 です。
「色」が大変印象に残った映画「わたしたち」をご紹介します。
この作品は学校でのいじめや家庭の事情を通し、
少女が一歩成長する姿を描いた2016年制作の韓国映画です。
心の動きとリンクするネイルカラー
物語の中でポイントとなるのが、主人公 ソン の爪の色です。
ストーリーと爪の色の変化を、私の下手な絵で申し訳ありませんが、
下の図を使ってお伝えします。
小学4年生のソンはクラスでいじめに遭っています。
夏休み前の終業式の日、ソンは転校生の ジア と出会い、
意気投合した二人は夏の間友情を育みます。
ある日二人は庭に咲いているホウセンカの花の汁で、
爪を赤く染めました。透明感のある美しい赤色です。(図の1番)
上のポスターの画像がそのシーンで、ソン(右側)の奥に
赤いホウセンカの花、ソンの手もとに花の汁がはいったボウルが見えますね。
新学期が始まると、ジアの様子が急によそよそしくなります。
その頃、爪の赤い色は半分に。(図の2番)
実際は爪が伸びた結果ですが、なんとなく友情が半分に
減ってしまった感じがします。
ジアとの仲が険悪になっていく一方で、ソンはいじめっ子の一人が
貸してくれたマットブルーのネイルカラーを、半分赤い爪の上に
重ねます。まるでジアとの友情を否定するかのように。(図の3番)
今度はジアがいじめの標的となり、両者の間で複雑な心境のソン。
ブルーのネイルカラーは所どころ剝げ落ちて、
その下の赤が再び現れてきました。(図の4番)
このように、ソンの心の動きが、そのまま彼女の爪の色に表れていて
赤とブルーといった対照的な色使いや、重ねたり
はげ落ちたりといった表現が素晴らしいと思いました。
爪の色に着目するなんて、少女の物語ならではですね。
ラストの展開にも爪の色が関わっていますが、
これ以上のネタバレは差し控えたいと思います。