2017年10月10日火曜日

周りの色で主役の印象も変わる ~「ルオーのまなざし 表現への情熱」展より

Photo by Masumi Chiba

ご覧くださって、ありがとうございます!
カラーリスト・色彩講師の千葉真須美です。

今日は、宮城県美術館で観た
「ルオーのまなざし 表現への情熱」展 について
ちょっと変わったポイントでご報告したいと思います。



フレーム・カラーによる印象の変化


ジョルジュ・ルオー は、
19世紀末から20世紀半ばにかけて活躍した
フランスの画家です。

暗い作品のイメージが強く
あまり好きなタイプではないので、
展覧会が開催されると聞いても
正直なところ興味がありませんでした。

しかし、街中でこちらのポスターを目にし、
「あれっ!?こんな明るい作品だったっけ?」と思い、
色の勉強を兼ねて観に行くことに…。



















そして、会場に足を踏み入れると…
やっぱり暗い!

黒で描かれた太い輪郭線に暗い色調。
晩年の作品には鮮やかな色使いも見られますが、
全体的に黒とダークカラーの印象が強く残りました。
ポスターから受けたイメージとは違っていました。

そこで感じたのが、
このポスターの色使いの上手さです。

ポスターのベースカラーは暖かみのある黄色です。
この黄色は作品の中で使われている色なので、
作品との一体感を生み出しています。
また、青の補色ですので、
ブルー系の色をあざやかに見せています。

さらに、黄色の面積が多いので、
ポスター全体がまるでひまわりの花のような
明るく元気なイメージを見る人に与えます。

これらの効果を検証するために、
画像加工ソフトで黄色を白に変えてみたのが
こちらです。



















いかがでしょう?
印象がかなり変わりますね。
白も明るくメリハリがあって悪くはないのですが、
私は黄色のポスターの方が断然好きです。
作品のインパクトが増していると思います。

このように 周り(フレーム)の色が
作品のイメージをこんなにも変えてしまうことを
あらためて実感しました。