2017年9月25日月曜日

映画「ブレンダンとケルズの秘密」|ケルト文様と色彩美に圧倒される

映画「ブレンダンとケルズの秘密」のちらし


楽しみにしていたアニメ映画「ブレンダンとケルズの秘密」を観てきました。

この作品は、アイルランドの国宝であり、「世界で最も美しい本」と言われている「ケルズの書」が完成するまでの物語です。


■ ケルト文様と色彩美に圧倒される

・多彩で巧みな色彩表現

とにかく映像が美しい画面のあちこちにケルト文様がちりばめられ、とても幻想的な世界を作り上げています。

色彩も素晴らしく、明るく鮮やかな色調から深い色調、渋い色調と、多彩なカラーバリエーションで描かれています。

さらに季節の移り変わりや、太陽・月・炎による光の演出、心のふれあいや恐怖など感情を伝える表現まで、色使いが大変巧みでした。

日本のアニメーションも美しいけれど、海外の作品はまた違った個性の美しさですね。この作品を観て、「眼福」とはまさにこのことだと感じました。


・アイルランドを象徴する緑色

ところで、この作品は緑色がキーカラーです。映像では美しい緑色が印象的ですし、ストーリー上でも主人公の少年が緑のインクの原料となる木の実を探しに森へ出かけるところから大きく展開していきます。

緑はアイルランドのシンボルカラーです。アイルランドの祝日セント・パトリックデー(3月17日)では街中が緑色で飾られ、人々は緑色の服を身に着けます。

緑色を多用した点にもアイルランドへの愛を感じる作品でした。




2017年9月11日月曜日

大人の塗り絵|赤を主役にした配色プランと奥行き表現の工夫

大人の塗り絵、中国風の衣装を身に着けた女性
colored by Masumi Chiba

今日取り上げるのは、アジアの雰囲気が漂う女性の塗り絵作品です。

この作品の配色を決めるまでに、頭の中であれこれ考えたことをご紹介したいと思います。


■ 女性をきわだたせる配色を考える

・配色の基となるプラン

最初に決めたのは、衣装の赤です。スタンドカラーの衣装が中国風なので、少し黄み寄りのチャイニーズレッドを使うことにしました。

次に考えたのは、どうやって女性を際立たせるか?ということです。なぜなら、背景の書き込みが多いので、色使いで工夫をしないと女性の存在感が薄くなってしまう危険性があると思ったからです。

そこで、画面手前から 女性→傘→背景 という順番を明確にする、―つまり、前後感(奥行き)を表現したいと思いました。


・主役を赤にして配色を考える

女性の衣装は主役となる赤。赤は、誘目性(目を引き付ける性質)が高く、同時に進出色(近づいて見える色)でもあります。主役カラーとしては一番の色ですね。

その後ろの傘は、後退色(遠ざかって見える色)の紫。赤と紫で、女性と傘の位置関係を明確にしようとしました。

因みに、傘の紫袖の紫では、袖の紫の方が赤みが強いので、幾分手前に感じられます。

そして、背景色です。奥行きを一番に考えるのであれば、後退効果の高い 暗い寒色 が適しています。

しかし、全体的に明るく華やかにまとめたかったので、黄色やオレンジといった暖色を用いました。その代わりに、色をくすませることで、少しでも後退感が出るようにと工夫しました。

このようなプランで、画像の塗り絵が完成しました。前後の感じが少しでも感じていただけたら良いのですが…。

色を選んだり、配色したりと、色を選ぶポイントはたくさんあります。私の色選びがあなたの塗り絵のヒントになることを願いつつ、また塗り絵の配色過程をご紹介していきたいと思います。




2017年9月4日月曜日

大阪・京都の美術館巡り|4つの展覧会で出会った作品の魅力

「中村佑介展」の会場入り口の様子
中村佑介展会場

先日、約10年ぶりに大阪・京都を旅しました。私の旅行の楽しみの一つが美術館巡りです。今回は4つの展覧会に足を運びました。


■「中村佑介展」

1つめは、大阪・天王寺にあるあべのハルカスで開催された「中村佑介展」。中村さんの15年間の作品が一度に見られる大変贅沢な展覧会です。

どの作品も線と色彩が美しく、一つ一つに見入ってしまいました。上の画像は最新作の「ワンダーウーマン」。アメコミのキャラクターでありながら、ミュシャ作品のようなエレガントさとシックな色使いが素晴らしい!(*会場は写真撮影OKでした。)


「中村佑介展」塗り絵コンテスト入賞作品の展示コーナー
中村佑介展 ぬり絵コンテスト入賞作品コーナー

また、塗り絵コンテスト入賞作品コーナーには個性あふれる作品が並び、入賞された方々のアイディアとテクニックが勉強になりました。私の作品(上段右から2番目)もこの中に加えていただき、本当に光栄なことと幸せに感じています。


■「バベルの塔」展


「バベルの塔」展、会場入り口の看板
バベルの塔展

大阪・国立国際美術館の「バベルの塔」展では、この作品をはじめとするブリューゲルとボスの不思議な世界を満喫しました。

主役の背後にいる小さなキャラクターまで丹念に描かれている点は中村佑介さんと共通する点で、細部にも面白さや発見がある作品揃いでした。


■「山岸涼子展・光-てらす-」


「山岸涼子展・光-てらす-」会場入り口
山岸涼子展

初めて訪れた京都のマンガミュージアムでは「山岸涼子展・光-てらす-」を鑑賞。

山岸さんの代表作の一つ「日出処の天子」は私の好きなマンガのベスト3に入る作品で、画像の看板に描かれた同作品の主人公・聖徳太子の図に思わず感動しました。

和の色彩を用いた繊細な原画はため息ものの美しさでした。衣装の色・柄などぬり絵の参考にもなりそうです。


■「パリ・マグナム写真展」


「パリ・マグナム写真展」会場入り口の看板
パリ・マグナム写真展

最後は、京都文化博物館の「パリ・マグナム写真展」。世界的な写真家集団マグナム・フォト創立時から現代まで、パリで撮影された作品を集めた写真展です。

モノクロ作品が多く、光の加減により表情を多彩に変えるモノトーンがとても味わい深かったです。白・黒のバランスも大変巧みであると感じました。

以上、大変欲張りな時間を過ごして来ました。

展覧会に出かけ、さまざまな配色を目にし、それらを自分の頭や心にインプットすることは、配色のアイディアの栄養になると思います。

ごく身近な所でも多くのことを学べますが、たまには気分を変えて美術館へ行ってみるのもおすすめです。あらたな色の発見と出会えるかもしれません。