2017年9月11日月曜日

大人の塗り絵/「奥行き(前後感)」の表現にチャレンジ

colored by Masumi Chiba

ご覧くださって、ありがとうございます!
カラーリスト・色彩講師の千葉真須美です。

今日取り上げるのは上の作品です。
この作品の色を決める際に、頭の中で
あれこれ考えたことをご紹介したいと思います。




主役を際立たせるために後退色を利用


最初に決めたのは、
赤をメインカラーにすることです。
この線画が中国風なので、
少し黄み寄りの チャイニーズレッド
使うことにしました。

次に考えたのは、
どうやって女性を際立たせるか?
ということです。

なぜなら、背景の書き込みが多いので、
何か工夫をしないと女性の存在感が
薄くなってしまうと思ったからです。

そこで、
画面手前から 女性 → 傘 → 背景 という
順番であること ―つまり 奥行き(前後感)を
表現したいと思いました。

女性の衣装はメインカラーの赤。
赤は 誘目性(目を引き付ける性質)が高く、
また 進出色(近づいて見える色)でもあります。
主役カラーとしては一番の色ですね。

その後ろの傘は、
後退色(遠ざかって見える色)の紫。

赤と紫で、女性と傘の位置関係を
明確にしようとしました。

因みに、傘の紫袖の紫では、
袖の紫の方が赤みが強いので、
その分手前に見えます。

そして、背景色です。
奥行きを一番に考えるのであれば、
後退効果の高い 暗い寒色 が適しています。

しかし、明るく華やかにまとめたかったので、
黄色やオレンジといった暖色を用いました。
その代わりに、少々くすませることで、
いくらかでも後ろにある感じを出そうとしました。

そんなこんなで上のように完成しました。
奥行き感を少しでも感じていただけると
良いのですが…。

どんな色で塗ろうか?
どんな色を組み合わせようか?
色を選ぶポイントはたくさんあります。
私の色選びがあなたの塗り絵のヒントになれば
大変嬉しいです。