2015年8月31日月曜日

カラーコーディネートの基本-5. 色の「トーン」とは?

Photo by Masumi Chiba

ご覧くださって、ありがとうございます。
カラーリスト・色彩講師の千葉真須美です。

ブログでの 「カラーコーディネート講座」
今回の12回目で基本編は最後となります。
テーマは色の 「トーン」 についてです。



「トーン」は  明度 + 彩度 


「トーン」 とは何か?
「ちょっとトーンを変えてみましょう!」 ―なんて、
ファッション・コーディネートや ヘア・カラーリングの際に
耳にされたことはありませんか?

トーンとは、「色調」 のことです。

具体的にいうと、
これまでにご説明した「明度」と「彩度」の組み合わせです。

下の図は、トーンが変化すると、
色はどのように変化するかを表したもので、
赤のトーンのバリエーションが示されています。














図の縦軸は明度(色の明るさ)を表し、
上にいくほど明るい色となります。
横軸は彩度(色の鮮やかさ)で、
右にいくほど鮮やかな色となります。

右端の赤は最も鮮やかな色(=純色)です。
明度は中位に位置していますね。
この赤を基準に考えると・・・

左上の淡いピンク色は、
赤の明度を高くすると同時に、彩度を低くした色です。

また、左下のチョコレート色は、
赤の明度と彩度の両方を低くした色です。

ピンク色も、チョコレート色も、
じつは赤のトーンを変化させた色で、
赤のバリエーションの一つということができます。

このように、 「トーンを変える」 ということは、
一つの色相(色み)の明るさ・鮮やかさを変えることです。


赤をオレンジ色に近づけたり、赤紫色に近づけたりすることは、
色相を変えることですので、トーンを変えることにはなりません。

しかし、実際にファッションやヘアカラーなどにおいては、
色相の変化も含めて、色のニュアンスを変える場合に
「トーンを変える」と表現されることが多いようです。

それでも、色を扱うためには、
「トーンとは何か?」 という概念を
しっかりおさえていただきたいと思います。




2015年8月24日月曜日

カラーコーディネートの基本-4. 色の三属性その3・ 彩度

Photo by Masumi Chiba

ご覧くださって、ありがとうございます。
カラーリスト・色彩講師の千葉真須美です。

ブログでの「カラーコーディネート講座」も
本日で11回目となります。
今日は、前回までにご紹介した色の三属性で、
色相、明度に続き3つ目の 彩度 についてです。



色の三属性その3・ 彩度

彩度 とは色の鮮やかさのことです。

ビビッドカラーのように色鮮やかであれば「彩度が高い」、
色みがあまり感じられない場合には「彩度が低い」と表現します。

加えて、白、グレー、黒の無彩色は、
色みが全くありませんので、彩度は「 0(ゼロ)」です。
「 無・彩・色 」という名前の通りですね。 

因みに写真のネムの花は、
花弁の先端から付け根にかけて、
高彩度から低彩度へと彩度が変化しています。


・彩度は 派手さ・地味さ に大きく関わる

高彩度色は派手に、低彩度色は地味に感じられます。

ですから、ファッションやインテリア、ウェブデザインなどで、
「ちょっと派手だな…。」と感じる時には、
彩度を少し下げることで派手さを抑えることができます。
反対に、少々地味な場合には、彩度を上げればよいのです。

派手⇔地味 という尺度に関しては、
色相や明度を変えるよりも、彩度での調節が効果的です。

彩度という視点を持つことで、
カラーコーディネートの幅はぐっと広がります。




2015年8月17日月曜日

カラーコーディネートの基本-3-2. 明度による心理への影響

Photo by Masumi Chiba

ご覧くださってありがとうございます。
カラーリスト・色彩講師の
千葉真須美です。

お盆などで、
ちょっと間があいてしまいましたが、
「カラーコーディネート講座」
続きをお送りします。


色の三属性その2・ 明度


明度(色の明るさ)について
押さえていただきたいこと、
前回ご紹介した「メリハリ感・
きわだち感」に続き2つ目は …


2、明度による心理効果


心理効果、-つまり、
目にしたものがどのように見えるか?
という、色の見え方・感じ方です。

明度によって、対象物の見え方がどのように変化するか、
代表的な例を3つご紹介します。



(1) 大きさの感覚への影響

明度が高い色は、大きく膨張して見えます。
明度が低い色は、小さく収縮して見えます。

よく、白い服は太って、黒い服はやせて見える、なんて言いますね。
ズバリ、そのことです。

「白・黒」 という具体的な色ではなく、
「明るい色・暗い色」 と明度で捉えてください。



(2) 重さの感覚への影響

明度が高い色は、軽く見えます。
明度が低い色は、重く見えます。

室内の配色では、天井は明るい色に、
床は天井や壁よりも暗い色に-という組み合わせが一般的です。
これは、軽く見えるものが上に、重く見えるものが下にある方が、
安定感が得られるからです。



(3) 質感への影響

明度が高い色は、柔らかく見えます。
明度が低い色は、硬く見えます。

上の写真の淡いピンクの花は、
背後の濃いピンクの花よりも柔らかに見えますね。
後ろの花をぼかして撮っていますが、
それでもやはり淡いピンクのほうが柔らかく感じます。


このように、同じ大きさ、同じ重量、同じ柔らかさ・硬さであっても、
色の明度が変わると見た目の印象が違ってきます。

ですから、
大きく見せたいから明るい色に、硬く見せたいから暗い色に・・・などと、
明度を利用して見た目を変えることもできるのです。




2015年8月6日木曜日

カラーコーディネートの基本-3-1. 色の三属性その2・ 明度

色の三属性 明度
Photo by Masumi Chiba

ご覧くださって、ありがとうございます。
カラーリスト・色彩講師の千葉真須美です。

「カラーコーディネート講座」 の続きです。
今回は、色を構成する3つの要素(色の三属性)の2つめ、
明度 についてご説明します。



色の三属性その2・ 明度


明度 とは、色の明るさの度合いです。
色が明るい場合は 「明度が高い」 、
暗い場合には 「明度が低い」 と表現します。

全ての色の中で、最も明るい色は 白 、
反対に最も暗い色は 黒 です。
ですから、白に近づけば近づくほど 色は明るくなりますし、
黒に近づけば近づくほど 暗い色になっていきます。

この明度は、次の2つの色彩効果に大きく関わっています。


1、配色による メリハリ感・きわだち感


前に登場した色相や、後でご説明する彩度を用いて
メリハリ感・きわだち感を作ることも可能です。

しかし、明度を使うのが最も効果的です。
隣り合う色の明度差を大きくすることで、
メリハリ感・きわだち感が非常に強くなります。

例えば、ネイビーブルーのスーツを着る時は、
ライトブルーのシャツよりも 真っ白なシャツの方が、
明るさの差が大きくなり、メリハリ感が強まります。
その結果、より キリリッ!とした印象になります。

また、文書や資料の文字の読みやすさ、図形の見えやすさも、
明度によるきわだち感でコントロールできます。

この場合は、対象となる文字や図形の色と、
背景の色との明度差を大きくします。
すると、文字や図形がきわだち、認識しやすくなります。

明度差が最大になるのは、
最も明るい色=白と、最も暗い色=黒 の組み合わせです。

普段よく目にする 白地+黒文字 は、
文字が最も見えやすい組み合わせなのです。

*ただし、パソコンのモニターなど光を発するものでの
  白地+黒文字 は、眼への刺激が強く感じられます。

  そこで、ウェブなどでは、
  白地+ ダークグレー の文字で明度差を少々抑えた方が
  見やすくなります。


長くなってきたので、続く2つ目は次回の記事で…。




2015年8月3日月曜日

人気の色彩検定を 学習の目標・手段として活用

Photo by Masumi Chiba

ご覧くださって、ありがとうございます。
カラーリスト・色彩講師の千葉真須美です。

今日は「カラーコーディネート講座」をお休みして、
カラー分野の検定試験の一つ「色彩検定」についてです。

「カラーの試験を受けてみたいのですが、
 どの試験が良いですか?」
というご質問を受けた時、
私が最初におすすめしているのは 色彩検定 です。

近年カラーに関する資格が増えてきましたが、
歴史、知名度、人気などにおいて NO.1 といえるのは、
この文部科学省後援の技能検定、色彩検定 です。
内容の充実さに加え、受験者が多いために参考書籍が豊富、
試験実施地が多いなどの有利な点もあります。

色彩検定には 1級、 2級、 3級 の3つのレベルがあります。

3級 は、
カラーに関する基本的な事柄を理解しているというレベル。
・ カラーについて学びたいけれど、何から始めたらよいのか分らない
・ カラーを基礎からしっかり学びたい ・・・
という方には、3級の学習がおすすめです。

2級 は、
カラーの知識に加え、配色などの技能を持っているレベルです。
・ カラーの技能を仕事に活かしたい
・ 配色技法など実践力を身につけたい ・・・
という方には2級までの取得をおすすめします。

1級 は、
カラーに関する幅広い知識と技能を持っているレベルです。
・ 主にカラーを取り扱う仕事をしたい
・ カラーの講師になりたい ・・・
という方は、ここまで到達したいですね。

検定試験は、試験勉強を通して 色の知識や技能を体系的に学べること、
また合格すれば「ここまで理解しています・できます」という証明が
できることの 一石二鳥です。
学習の目標・手段として、比較的受験しやすい色彩検定を
活用されてはいかがでしょうか。