今回は『ナチュラル』をテーマに、AI画像生成の【色調表現の比較】を行います。『ナチュラル』は、シリーズ第1回の『落ち着いた』、第2回の『カジュアル』と同様に、物事やスタイル、雰囲気のイメージを表現するのによく使われることばです。
あなたがイメージする『ナチュラル』を思い浮かべながら、記事を読んでいただけると、楽しさが増えることと思います。
■ 使用ツールとテーマ(プロンプト)
【ツール】
ChatGPT / Gemini / Copilot
【プロンプト】
「次の画像を生成してください。画像サイズは4×3の横長で作成。ガラスの花瓶に生けられた花束。ナチュラルな色調で。」
【参考/ナチュラル配色】
プロンプトに含まれる「色調」と「配色」は、同じ意味ではありません。「色調」は色のトーンや雰囲気を表し、「配色」は色の組み合わせに重点が置かれます。ただし、この2つは互いに深く関連しているため、ここでは参考としてナチュラルな配色について解説します。
下図がナチュラル配色の一例です。明度(色の明るさ)は中~高、彩度(色の鮮やかさ)は低~中で、自然の中に見られるような色の組み合わせが中心です。前回のカジュアル配色の配色例と比べると、トーンに明らかな違いがある点がお分かりいただけると思います。
■ 生成画像の比較
【ChatGPT】
②光の扱い: 陰影が少ない明るく柔らかな光
③雰囲気: 優しく穏やかな雰囲気
【Gemini】
②光の扱い: 明暗がはっきりしていて、ドラマチックな印象
③雰囲気:室内の壁、家具、テーブルクロスなど質感の違いがはっきりと描かれている。さらに奥行きも表現され、室内の雰囲気がよく伝わってくる。
*画像サイズは今回もプロンプト通りではなく、1×1の正方形でした。
【Copilot】
②光の扱い: 抑え気味の明るさの穏やかな光だが、ほのかな明暗を感じる。
③雰囲気: 3つの中で最も柔らかで大人しい雰囲気にまとまっている。
■ まとめ
・ChatGPTとCopilotはナチュラルの捉え方が大変近く、明るく優しい色調が共通している。色合いもナチュラル配色となっている。
・Geminiは壁や家具などに自然素材の色彩を取り入れることで、ChatGPT、Copilotとはまた違った、少々強さのあるナチュラル感を表現している。青紫、赤紫と紫系2色を取り入れている点が特徴的。
・画面の明るさは、Gemini の陰影が強いため、ChatGPT、Copilotより暗く感じられる。ChatGPTとCopilotではChatGPTがより明るい。
今回はナチュラル配色に重点を置いたChatGPT、Copilotの画像と、自然の素材をポイントとしたGeminiの画像、大きく2つに分かれました。あなたが思い描いたナチュラルはどちらに近かったでしょうか。それとも全く違ったナチュラルでしたでしょうか。同じナチュラルでも、ことばから広がる色の表現には違いがあり、その点が興味深く感じられました。
ところで、ChatGPTとCopilotの生成画像は、今回に限らず似ていることがよくあります。この傾向についてChatGPTに理由を尋ねてみると―
① ベースとなる画像生成モデルが「同系統」
② プロンプト(指示文)の解釈が同じ方向に寄る
③ “写実系AI”のトレンドが共通している
とのことでした。ただし、光の表現などに違いも見られ、それぞれの得意な点は異なるようです。
さて、次回はちょっと趣向を変えて、PCCSの「ディープトーン」で色調を指示します。3つのAIはPCCSのトーンを表現できるか、どうぞお楽しみに。
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