「「色のふしぎ」と不思議な社会」(インデックスや付箋は私が貼りました) |
ご覧くださって、ありがとうございます。
カラーリスト・色彩講師の 千葉真須美 です。
長いこと色彩講師をしていますが、
この本を読んで目からウロコが何枚も落ちました。
「「色のふしぎ」と不思議な社会 2020年代の「色覚」言論」
川端裕人 著 (筑摩書房)
色覚(色の見え方)が正常か、それとも異常か、
-このようにいうと、2者の境界が明確であるように感じます。
「異常」とされた人は「正常」な人と全く違う世界を
見ているのではないかと…。
しかし、実際は「正常」から「異常」へ色覚の差異は
なだらかに変化してくため、両者はきっちりと分かれおらず
線引きは大変難しい。この現実に大変驚きました。
「異常」にごく近い「正常」者もいれば、
「正常」にごく近い「異常」者もいる。
それほど色の見え方には多様性がある。
色覚には個人差があること、加齢により色覚が変化することなど、
色覚の多様性についてはある程度理解しているつもりでしたが、
それを超える内容がいくつも紹介されていました。
先天色覚異常とは何かにはじまり、先天色覚異常と診断された
人々を取り巻く社会とその人たちの声、色覚の進化、
色覚のメカニズム、現在の色覚検査など多岐にわたる
視点から色覚について述べられています。
色覚によって、進学や職業選択が制限されることがあります。
また、各種標示や公共スペースなどの配色はどうあるべきかなど、
色覚の多様性は私たちの生活に大きく関与しています。
色に関心のある方だけでなく、あらゆる方にお読みいただき、
色の見え方への関心・理解を深めていただければと思います。
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