(左)映画チラシ (右)原作本 |
ご覧くださって、ありがとうございます。
カラーリスト・色彩講師の千葉真須美です。
今日は色に強くこだわっている 2018年公開の映画
「今夜、ロマンス劇場で」を取り上げます。
読書仲間からいただいた原作本をきっかけにNetflixで観たら、
色彩の見どころが満載の作品!色に興味をお持ちの方には
ぜひともご覧になっていただきたい作品です。
「今夜、ロマンス劇場で」色使いの注目ポイント
【1】映像全体の3つの色調(カラートーン)
ストーリーは次の3つの色調で描かれています。
1 モノクローム(ヒロインが登場する白黒映画の世界)
2 ナチュラルで少々あっさりした色調
(現在、年老いた主人公の入院生活)
3 鮮やかでカラフルな色調(1960年、主人公の青春時代)
特にメインとなる1960年のシーンの鮮やかさは印象的です。
この時代、日本は高度成長期真っ只。1950年代にカラー映画製作が本格化、
1960年はカラーテレビ本放送開始、百貨店がカラーキャンペーン展開と、
カラー化が進んだ時代で、その活力や主人公の情熱、若いエネルギーが
色彩からグイグイ伝わってきます。
【2】各シーンに見る細やかな色の工夫
例えば…
・現在の入院シーンでは、ブルー系のファブリックで寂しさを演出
・二人が出会う「ロマンス劇場」は思い切りカラフルに
・ドロップ(キャンディー)は実物より濃い色でカラフルさを強調
・カラフルなかき氷(ブルーのシロップは80年代以降では?)
・赤いダルマ、花笠、自動車など、画面にアクセントカラーを配置
ーなど、これはほんの一部分で、
見れば見るほど新たな色の発見がありそうです。
【3】ヒロインのファッションカラー
彩瀬はるかさん演じるヒロインの数十種類以上に及ぶファッションは
モノトーンからビビッドカラーまで色とりどりです。
背景カラーとのコンビネーションも考慮されています。
-ということで、ストーリーはもちろんですが、
特に色に注目して作品をご覧になってみてください。
色の良い勉強にもなりますよ。👌