2017年2月5日日曜日

大人の塗り絵|配色のヒント⑤ 色のバランスと面積効果

中村佑さんの塗り絵ブックから赤い背景と額縁に囲まれた女性の塗り絵作品
colored by Masumi Chiba

人気イラストレーター、中村佑介さんのぬりえブック「COLOR ME」の中から一枚の作品を塗りました。上の画像がその塗り絵です。

とてもキュートなイラストで、楽しく塗り進めましたが、じつは背景の赤に大変苦労しました。


■ 修正を加えた壁の赤色

絵画を題材としたイラストなので、ルーブル美術館の赤い壁を連想して、背景を赤にすることにしました。


・赤の効果と私の失敗

赤は誘目性(視線を集める力)が高い上に、進出色(手前に飛び出して見える色)でもあります。そのため、原色に近い鮮やかな赤を使うと、作品を見た瞬間に赤が眼に飛び込んで来ることになります。

そこで、あまり目立たないように彩度(色の鮮やかさ)と明度(色の明るさ)を抑えた深みのある赤をイメージしました。

ところが、選んだ赤色を塗ってみると、予想より明るくイメージと違う上に、結構目立つ色合いでした。修正しようと、ダークな赤をその上から2回重ねて、写真の状態まで調整しました。

それでもまだ赤の存在感はしっかりありますね。


■ 広い面積を塗る時に注意したいこと

・面積の割合が大きいと、色の存在感が強まる

ところで、色の存在感は、その色が作品の中で占める面積と大きく関わります。割合が大きければ大きいほど、色の影響力は強くなり、色のイメージが伝わりやすくなります。

上の作品の壁(赤の部分)のように広い面積では、選んだ色によって作品の印象が大きく変わりますので、色選びは慎重にしたいものです。


・面積が大きくなると、色はより鮮やかに見える

その一方で、面積は色の見え方にも作用します。一般的に面積が大きくなるにつれ、その色の明るさや鮮やかさが増して見えます。これを 面積効果 といいます。

例えば、壁紙の色をサイズの小さな色見本で選び、実際に貼ってみたら予想より派手だったという現象は、この面積効果によるものです。

塗り絵でも、試し書きをして色を選んだのに、面積の大きな部分を塗ったらイメージが違った、ということが起こる場合があります。

面積が大きい場所の色選びでは、
・その色のイメージが強く伝わること
・面積効果で色合いが鮮やかになる可能性があること
この2つを思い出してください。

色選びの失敗が減るかもしれません。


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