colored by Masumi Chia |
ご覧くださって、ありがとうございます!
カラーリスト・色彩講師の千葉真須美です。
人気イラストレーター 中村佑介さんのぬりえブック
「COLOR ME」 が、昨年 12月に発売されました。
大変な人気で、一時は品切れになったそうです。
上の写真はこの本の一枚を塗った作品です。
とてもキュートなイラストで、楽しく塗り進めましたが
じつは 背景の赤 に大変苦労しました。
色が占める割合や「面積効果」に注意
絵画を題材としたイラストなので、
ルーブル美術館の赤い壁を連想して、
背景を赤にすることにしました。
赤は誘目性(視線を集める力)が高い上に、
進出色(手前に飛び出して見える色)でもあります。
そのため、原色に近い鮮やかな赤を使うと、
見た瞬間に赤が眼に飛び込んで来ることになります。
そこで、あまり目立たないようにと
彩度(色の鮮やかさ)と 明度(色の明るさ)を抑えた
深みのある赤をイメージしました。
ところが、最初に選んだ色鉛筆の赤は塗ってみると明るく、
イメージと違う上に結構目立つ色合いでした。
仕方なく、ダークな赤をその上から2回重ねて
写真の状態まで調整しました。
それでもまだ赤の存在感はしっかりありますね。
ところで、色の存在感は、その色が作品の中で
どのくらいの面積を占めるかという点と大きく関わります。
全体に占める割合が大きければ大きいほど、
その色の影響力は強くなります。
上の作品では壁(赤の部分)の占める割合が大きいため、
壁の色によって作品の印象が大きく変わるはずです。
また、面積は色の見え方にも作用します。
一般的に面積が大きくなるにつれ、
その色の明るさや鮮やかさが増して見えます。
この現象を 面積効果 といいます。
(色彩検定3級範囲)
例えば、壁紙の色をサイズの小さな色見本で選び、
実際に壁に貼ってみたら予想より派手だった
-という事が起こるのは、この面積効果によるものです。
コロリアージュでも、試し書きをして色を選んだのに、
面積の大きな部分は予想と違う!なんて事も…。
色を選ぶ際には、色の占める割合による影響力や
面積効果について思い出してみてください。
そうすれば色選びの失敗は減るかもしれません。。。