ご覧くださって、
ありがとうございます。
カラーリスト・色彩講師の
千葉真須美です。
昨年から気になっていた映画
「この世界の片隅に」 を
やっと観に行くことができました。
評判通りの素晴らしい作品です。
この作品については、
いろいろな場でたくさんの方々が
語っていらっしゃるので、
私は色についての感想を・・・。
鮮やかでない色調がごくふつうの毎日を象徴
物語が始まり、映像を見た瞬間、
そのくすんだ色彩に驚きました。
彩度(色の鮮やかさ)がかなり低い
グレイッシュな色調で、
「うわー、地味な色!」
というのが最初の印象です。
(パソコンのモニターで観る色より、
映画館で観る色はくすんで見えます。)
物語が進み、舞台や季節が変わると、
もう少し明るく鮮やかな色も登場しますが、
それでも大半はくすんだトーンに抑えられていました。
その結果・・・
・時々登場する青空や青い海、草木の緑、
明るい色の着物、紅(口紅)などの色彩が
より生き生きと感じられる。
・ ノスタルジックな雰囲気が出る。
・ 戦争の痛ましいシーンも
その衝撃が和らぐ。
などの効果が生まれていたと感じます。
そして、何よりも 「日常感」 が表されていたと思います。
ありきたりの毎日に、
色とりどりの華やかさはありませんよね。
たまにちょっとした彩りが加わるくらいで。
でも、そんな普通の一日一日が、
本当はとても幸せで尊いものであることを
この作品は教えてくれます。
これからご覧になる方は、
このような色の表現も感じていただけたらと思います。