2017年1月20日金曜日

映画「この世界の片隅に」|抑えたトーンで描かれた、かけがえのない日常

映画 「この世界の片隅に」 ポスター

昨年から気になっていた映画「この世界の片隅に」をやっと観に行くことができました。評判通りの素晴らしい作品です。


■ 鮮やかさのない色調が描くごくふつうの毎日

太平洋戦争中の広島が物語の舞台です。

映像を見た瞬間そのくすんだ色彩に驚きました。彩度(色の鮮やかさ)が抑えられたグレイッシュな色調で、正直なところ地味な色合いだと思いました。(パソコンのモニターで見る色より、映画館で見る色の方がくすんで見えます。)

物語が進み、舞台や季節が変わると、もう少し明るく鮮やかな色も登場しますが、それでも大半はくすんだトーンに抑えられていました。

映画を見終えると、一見地味だと感じた色調は、結果的に次の効果を生んでいたことに気づきました。

・時々登場する青空や青い海、草木の緑、明るい色の着物、紅(口紅)などの色彩がより生き生きと感じられる。

・ノスタルジックな雰囲気が出る。

・戦争の痛ましいシーンの衝撃を和らげる。

そして、何よりも「日常」が表されていたと思います。

ありきたりの毎日に、色とりどりの華やかさはありませんよね。たまにちょっとした彩りが加わるくらいで。でも、そんな普通の一日一日が、本当はとても幸せで尊いものであることをこの作品は教えてくれます。

抑えた色調はごく普通の、そしてかけがえのない毎日の象徴だと感じました。