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| photo by Masumi Chiba |
書店に並ぶ本の中に「色」という文字、あるいは色の名前を見つけると、単行本でも雑誌でも思わず手に取ってしまいます。そして「ジャケ買い」ならぬ「タイトル買い」をすることも…。
■ タイトルに惹かれ、装丁に驚く
ハン・ガンさんの短編集「すべての、白いものたちの」もタイトルに惹かれて手を伸ばしたら、ビックリ!この本には、5色の紙が使用されていました。このような作りの本は初めてです。
どの色もごく淡いトーンで、画像のように並ぶと色の違いがハッキリと判りますが、1色だけで見たら「白」と捉えそうな色ばかりです。
そして、こんなに微妙な違いの色でも、ページをめくって色が切り替わる瞬間は、まるで世界が変わるような新鮮な感覚でした。
■ 白の世界が広がる
うぶぎ、ゆき、白い犬、戦争で廃墟となった街など、本文に綴られたさまざまな白いものたちと、かすかに表情の違う 5つの白いページ。色の効果で白の世界がますます広がります。
白いものは数あれど同じ白は一つも無い、そんなことを伝えているようにも感じました。
静かに心に沁みてくる作品の数々と美しい装丁。ずっと大切に持っていたい一冊です。
*装丁:佐々木暁さん
