2018年8月15日水曜日

「黒」は何色からできている?

「女子中学生の小さな大発見」新潮文庫

ご覧くださって、
ありがとうございます。
カラーリストの
千葉真須美です。

先日、夏休みらしい
雰囲気の本を読みました。
タイトルは

「女子中学生の
   小さな大発見」


女子中学生によるちょっとした実験や観察をまとめたもので、
クスッと笑ってしまうユニークな内容です。
今年の「新潮文庫の100冊」の1冊でもあります。

この中に

サインペンの黒色は何色からできているか?

という、とても気になる実験がありました。

コーヒーフィルターにサインペンで印をつけ、
水でにじませて色の変化を観察するという実験です。

結果として、メーカーによって異なること、
黒と言っても、青、オレンジ、ピンク、緑、紫など
いろいろな色が混じっていることがわかったそうです。

色彩学の基礎的な内容(色彩検定3級レベル)の一つに
混色」があります。混色とは「2色以上の色を
混ぜ合わせて他の色をつくること」です。

絵の具などの色材は、
三原色の シアン、マゼンダ、イエロー を混ぜると
黒(厳密には黒に近い色)になりますが、それとは反対に
黒の中に含まれている色を見つけようとしたのが
前述の実験ですね。

簡単な実験なので、私も真似してみました。

キッチンペーパーに、ペンテルとステッドラーの
2種類の黒サインペンで丸を描きます。


左/ペンテル、 右/ステッドラー















その上に水を数滴たらしてみると…


左/ペンテル、 右/ステッドラー
















左のペンテルからは少々緑みを帯びた青が、
右のステッドラーからは紫、オレンジ、黄色などが
現れました。

ペンテルは筆記具、ステッドラーは画材という点が
このような色の複雑さの違いとなっているのでしょう。

「黒」はさまざまな色を含んでいるということが
自分自身の目で簡単に確認できて面白いですね。
テキストで理論を学ぶだけでなく、
時には自分で試してみることの大切さを再認識しました。





2018年6月17日日曜日

映画「万引き家族」で、心に残ったこの色


ご覧くださって、
ありがとうございます。
カラーリストの 千葉真須美 です。

カンヌ映画祭でグランプリに輝いた
話題作「万引き家族」を観ました。

「ほんとうの家族とは?」と、
家族について考えさせられる
余韻の深い作品でした。

この作品を観終えて
大変心に残った色があります。

今日はその色のお話ですが、
ネタバレになりますので
ごれからご覧になる方は
ご注意くださいね。



「万引き家族」で
私の印象に強く残った色は 黄色 です。

一つはとうもろこしの黄色、
もう一つは水着の黄色です。

冬の寒空の下、
家から閉め出されてしまった5歳の女の子を、
ある家族が保護します。
一家は、暴力を受けた跡が残るその子を
家に返すことができず、一緒に暮らすことに…。

少女が心を開き始め、
家族の一員らしくなってきた夏の晩、
一家は大きな鍋で茹でたトウモロコシを食べながら
ごくありきたりの楽しい時間を過ごします。

また、ある日、
少女は黄色いワンピースの水着を買ってもらいます。
嬉しさのあまり、お風呂に入るのにも水着を着る少女。

この水着を持って家族全員で出かけた海水浴が、
一家の最後の楽しい思い出となりました。

黄色から受けるイメージは
無邪気さ、明さ、楽しさ、元気 などです。

家族団らんのトウモロコシの色、
家族で海へ行った時の水着の色、

これらの黄色が
少女の、そして一家の幸せなひと時を象徴すると同時に、
映像に輝きを与えていたように感じました。




2018年5月14日月曜日

しあわせな気持ちになれる色彩 ~ 映画「しあわせの絵の具」

ご覧くださって、
ありがとうございます。
カラーリストの 千葉真須美 です。

しばらくブログの更新をお休みして
いましたが、少しずつでもまた色に
関する情報をお伝えしていきたいと
思います。
どうぞよろしくお願いします。


さて、先日
「しあわせの絵の具
  愛を描く人 モード・ルイス」
という映画を観てきました。

注目していた作品ではありませんが

「人生は、
   美しい色であふれている。」

このキャッチコピーを見てしまったら、
観に行かないわけにはいきません!

主人公は「カナダで最も有名な画家」と呼ばれる
モード・ルイス という女性です。
若年性リウマチのため手足が不自由ながらも、
夫と二人、小さな家で質素に暮らす中で
絵を描き続けることが彼女の幸せです。

「うちの息子でも描ける」と
雑貨屋の主人に言われてしまう彼女の絵は、
どれも明るいトーンで伸びやかに描かれています。
絵画は「写実的=上手」と捉えがちですが、
彼女のように自分の世界を持っていることは
誰にも真似できない上手さなのだと思います。

真っ白な猫、真っ黒な猫、赤い屋根、色とりどりの花々…。
彼女の作品を見ていると、
カラフルな色彩に暖かい陽の光を感じ、
とても開放的で良い気分になります。
部屋に一枚欲しい!と思ってしまいました。

*モード・ルイスの作品は 映画公式サイト
 「Gallery」で見ることができます。

また、映画を観ていて、
映像全体の色のトーンを抑えていると感じました。
グレイッシュで静けさを漂わせる風景は、
二人の素朴な生活感を伝え、
同時に彼女の作品世界をより鮮やかに見せる
効果を生んでいると思います。

美しい風景と作品の数々を目にしながら、
幸せな気持ちになれる素敵な作品でした。