「同系色」という言葉は、ファッションやインテリア、デザインなどでよく目にする言葉です。ショップなどで、「同系色でまとめると素敵ですよ。」などと言われた経験がある方もいらっしゃると思います。
その一方で、同系色とはどのような色を指すのか、明確に答えられる方は少ないのではないでしょうか?
そこで、この記事では同系色という言葉の意味や、指し示す色について取り上げます。
「同系色」は色彩用語ではない?
「同系色」とはどのような色か?じつは、私自身、文献やテキストで明確な定義を目にした記憶がありません。
カラーのテキスト類では特に解説されておらず、次のような部分にこの言葉が見られます。
・色彩検定 3級公式テキスト
同一色相配色の説明文 『…いわゆる同系色の配色になるので…』
・カラーコーディネーター検定試験 スタンダードクラス公式テキスト
色相が近い配色の説明文 『…一般に同系色配色と呼ばれています。』
これらの文では「同系色」に、「一般に」や「いわゆる(=一般的にそういわれている)」という表現が加えられており、この点に注目すると、「同系色」は厳密な色彩用語ではないようです。
そもそも、上の2つのテキストを比較しても、「同系色」が示す内容は
・色彩検定
→ 同一色相配色(色相差0)*
・カラーコーディネーター検定試験
→ 色相が近い配色(=同一、隣接、類似色相配色(色相差0~3)*)
*用語については下記の(用語解説)をご覧ください
と、幅があります。
これらのことから、「同系色」という言葉は色彩用語として厳密に定義されているわけではなく、ファッション、インテリア、デザインなどの分野で一般的に用いられるざっくりとした表現だと考えられます。
では、実際には「同系色」といった場合、どのような色を指しているのかを見てみましょう。
(用語解説)
*同一色相配色:1つの色相でトーンを変えた色同士の配色(色相差0)
*隣接色相配色:色相環上で隣り合う色相による配色(色相差1)
*類似色相配色:色相環上で色相差が2~3の色による配色
*ここでは12色色相環を使用しています。24色相のうち偶数番号の
12色相を並べているため、隣り合う色との色相差は2となります。
色相とトーン(明度+彩度)から見た同系色
同系色の「系」は、つながりやまとまり、分類などを表す言葉です。色相やトーンにつながりがある同系色には次のようなものがあります。
①色相が同じ色
同系色の1つ目は、色相が同じ色(同一色相)です。つまり、同じ色みでトーンが異なる色のことです。
下の例は、赤(左)と、トーンが異なる赤(ピンク、右)の組み合わせです。
このような組み合わせを同一色相配色といい、同系色の解説として最も多く見られるのがこの配色です。(上記の色彩検定テキストの例)
②色相が近い色
2つめは、色相が近い色(隣接色相、類似色相)です。こちらは色みが近い色で、隣接色相は色相環上で隣り合う色相差1の色、類似色相は色相差が2~3の色です。
下の例は、赤(左)と、赤の類似色相の赤みのだいだい(右)の組み合わせです。色相差は2で、同じトーンです。
このような組み合わせを類似色相配色といい、色相差1の隣接色相の組み合わせは隣接色相配色といいます。
③色相が同じか近く、トーンが異なる色
①は同じ色相でトーンが異なる色、②は近い色相で同じトーンの色でしたが、③は①+②、つまり、色相は同じ~近い、トーンも異なる配色です。
下の例は、赤(左)と、トーンが異なる赤みのだいだい(右)の組み合わせです。
これら3つの配色はいずれも色に共通性や近さがあり、つながりやまとまりが強く感じられる組み合わせです。
色の分類による同系色
上の①~③は、色相やトーンからの視点での同系色でしたが、それ以外にも色の分類によって同系色とされる場合があります。
例えば、パーソナルカラーでおなじみのイエローベースカラー(イエベ)とブルーベースカラー(ブルベ)です。どちらかのグループで色をまとめる時に、「同系色で」と表現されることがあります。
下の例は、イエベカラーによる配色(上)と、ブルベカラーによる配色(下)です。
このような配色では、パーソナルカラーという前提がないと、「同系色」の意図が伝わりにくいかもしれません。
「同系色」とは
まとめると、同系色とは
- 色 - あるつながりや共通性を持ち、まとまりの配色をつくる色
- 特徴 - 特に色相に共通性・類似性がある色を指す場合が多い
- 言葉 - 厳密な色彩用語ではなく、一般的に用いられる広義の言葉
ということになります。
上の例で見たとおり「同系色」という言葉が指し示す色には幅がありますので、同系色を選ぶ時は厳密に考えすぎず、何らかのつながりやまとまり感がある色を選ぶことがポイントです。
もし迷ったら、色相が近い色を選べば大きく外すことはありません。
また、「同系色」という言葉は、一般的でざっくりとした言葉であるからこそ、ファッションやデザイン、そして色彩のテキストにも広く用いられ、色に詳しくない方にも感覚的あるいは直感的に伝わる便利な言葉だと思います。私も過去記事で使用しています。
ちょっとした説明などで、気軽に使える言葉として活用してみてはいかがでしょうか。
次回の記事では、「同系色」と同様に迷う方が多い「類似色」について、両者の違いも含めて考えます。
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