ディズニー映画をはじめ何度も映像化されている童話「ピノキオ」が、「シェイプ・オブ・ウォーター」でアカデミー賞を受賞したギレルモ・デル・トロ監督により、また新たな魅力を持つストップモーション・アニメ映画となりました。
どのシーンも美しく、かつ個性的で、デル・トロ監督独特の美意識に溢れています。その中で、特に印象に残った色彩効果について取り上げます。
■ 同一~類似色相でまとめられた映像
画面を構成する色(色相)の数が絞られていて、全体的に色のまとまりのあるシーンが多く見られました。
上のポスター画像はその良い例で、左側は暖かみのある茶系、右側は冷たいネイビー~黒ブルー系が画面を占め、色のイメージが各シーンの雰囲気を高めています。
■ 暗くくすんだ色調
明度も彩度も高くないトーン、PCCSでいうと、ダルトーン、グレイッシュトーン、ダークトーンが目立ちます。
その結果、かなり個性の強いキャラクターが登場したり、画面の中の情報量が多いような場合でも、全体的に安定感があり、時にはダークな雰囲気を醸し出しています。
■ 青の効果
全体的に橙色のバリエーションである茶系が多い中で、補色にあたる青系の色が効果的に使われています。
例えば、上の2枚のポスターのような現実世界(左・茶系)と死後の世界(右・青系)が場面転換されると、対照的な色使いによりそれぞれの世界観が強調されます。
また、左側のポスターでは茶系のピノッキオと青いクリケット(コオロギ)、右側ではブルー系の世界に茶系のタイトル文字というように、一つの画面の中でもこの二色の対比が活かされています。
■ 色彩に際立ちと変化を与えるライティング
ストップモーション・アニメはセットの中で人形を少しずつ動かして1コマ1コマ撮影します。そのセットや人形を照らすライティングが大変効果的かつ印象的です。
暖かい陽の光、青白い月明り、スポットライトなど、セットや人形の色彩に変化と陰影を与えて、よりドラマティックな世界を作り上げています。
これらの特徴は、明るくカラフルなディズニー版「ピノキオ」と対照的で、比較して見るとその違いがより分かりやすいと思います。
ちなみに、ピノッキオ(ピノキオ)とはイタリアで松ぼっくりのことだそうで、この作品の中にも松ぼっくりが所々に登場しますよ。
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