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2022年11月14日月曜日

「100語でわかる色彩」|色彩用語から広がる豊かな色の世界

「100語でわかる色彩」アマンディンヌ・ガリエンヌ 表紙画像
「100語でわかる色彩」アマンディンヌ・ガリエンヌ

「色の世界を覗いてみたい」というカラー初心者さんにも、資格取得後に「もっと色の世界を広げたい」とお考えの方にも、おすすめの本のご紹介です。


■ 「100語でわかる色彩」アマンディンヌ・ガリエンヌ

「100語でわかる色彩」は、赤、青といった色名をはじめ、色彩用語や身近な事象など 100 のキーワードによって色の世界を語った本です。

色に関するキーワードを集めた本は何冊か読みましたが、それらと異なるのは、アート、文化、顔料・染料などの話題が大変豊富なことです。

何より、著者の感性の豊かさを感じる表現が素晴らしく、文字だけの本なのに華やかな色彩世界が頭の中に浮かびます。

著者はカラーアドバイザー(カラリスト)として、エルメスなどファッション界や出版界などの仕事に携わってきた方です。幼い頃からの豊かな色彩体験や、色に対する繊細な視点も文章の随所に現れています。

例えば「暖色」という章では、暖色と寒色について簡単に説明した後、こう記しています。

『とはいえ、中国のベルベットの紫がかった青色は
 赤み(暖色)を帯びており、セーブル焼きの青よりも
 暖かい印象を与える。』

ベルベット、セーブル焼と、取り上げる例もなんて優雅なことでしょう。(ため息)


■ 新たな色の学びのきっかけに

この記事のはじめに述べた通り、カラー初心者さんにも面白く読んでいただける本ですが、ある程度色彩用語などを学ばれた方には、初心者さんとはまた違った興味深さが感じられることでしょう。それは、色彩検定や、カラーコーディネーター検定試験などのテキスト類では見られない新鮮な解説が豊富だからです。

例えば、色の重量感。テキスト類では「色の明度が大きく関わる」と解説されています。

しかし、この本の解説は…

『濃くて深い色彩は、
 その密度のせいで重い印象を与える。』

色の「密度」という視点、ちょっと目から鱗的な驚きがありませんか?

100 語の各解説は 1~2 ページ程度と短いものですが、バラエティ豊かな言葉が含まれているので、それらを調べながらじっくり理解を深めると、かなりの知識が得られるはずです。

手元に置いて、時折り眺めたい一冊です。