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2019年2月17日日曜日

白と黒で描かれた世界 ~ 映画「女王陛下のお気に入り」

ご覧下さって
ありがとうございます。
カラーリスト・色彩講師の
千葉真須美 です。

今年のアカデミー賞で
作品賞、主演・助演女優賞、
衣装デザイン賞、美術賞など
9部門でノミネートされている
「女王陛下のお気に入り」
観に行きました。

ストーリーはもちろんのこと、
18世紀初頭のイングランドの
宮廷が舞台ということで、
ファッションやインテリアも
大変楽しみにしていた作品です。



モノトーン:スタイリッシュでクール、そして光と影


主な登場人物は女王と、女王の側近である侯爵夫人、
そしての女王の寵愛を勝ち得ようとする侍女の
3人の女性です。

色彩豊かな豪華な衣装の数々を想像していたら、
3人の衣装は 白と黒のモノトーン ばかり。
とても意外でした。

しかし、色数が限られていることで布地の質感、
レースやリボン、ギャザーといった装飾の
繊細さがよく伝わっています。
中でも 光を受けた部分にだけ現れる
黒いドレスの見事な織り柄が
なんともゴージャスで美しかったです。

そして、白と黒という配色から
洗練されたスタイリッシュな感覚と共に、
女王の孤独や冷たい人間関係なども
表現されていたように思います。

また、議会のシーンでは
2つの派閥が赤い衣装と青い衣装に分けられ、
両者の対立関係が明確になっていました。

室内装飾は豪華ながらも彩度を抑えた重厚な色調です。
窓から差し込む光と影の部分の明暗が強調されて
ここでも白と黒のイメージを感じました。

ストーリーにも、
一見華やかに見える宮廷とその裏に潜む野望や陰謀、
宮廷の贅沢な暮らしやフランスとの戦争と
その陰で重い税を課せられ生活に苦しむ国民という
光と影 の図式が描かれていて、
白と黒 の印象が強く残った作品でした。