2017年2月27日月曜日

ビビッドカラーに注目!~映画「ラ・ラ・ランド」

ご覧くださって、
ありがとうございます。
カラーリスト・色彩講師の
千葉真須美です。

本日発表された
第89回アカデミー賞では、
前評判の高かった
「ラ・ラ・ランド」が
今回最多の6部門で受賞しました。

この「ラ・ラ・ランド」、
日本では先週 24日に封切られ、
私も早速観てきました。




ビビッドカラーの楽しさ、エネルギー、ノスタルジー


50~60年代のミュージカル映画への
オマージュと、ロサンゼルスの風景
たっぷりの、誰もが楽しめる 王道ミュージカル映画です。

映像も大変美しく、
プラネタリウムに広がる銀河、
ロサンゼルスの夕焼けなど、
うっとりするような色彩美にあふれています。

中でも印象的だったのが
ファッションカラーです。


(映画チラシより)












オープニングシーンから
赤、青、黄色 …と
鮮やかなビビッドカラーのファッションが登場します。

そして、それらはまるで画面を彩るように
スクリーンの中にバランスよく配置されています。
衣装というより美術の一部という感じです。
(アカデミー賞では美術賞も受賞)

先ほど
「50~60年代のミュージカル映画へのオマージュ…」
と述べましたが、この時代はちょうど
モノクロ映画からカラー映画への移行期です。
「雨に唄えば」「巴里のアメリカ人」など、
カラーで作られた作品は、カラフルな色彩を
見せつけるかのような色使いでした。

ビビッドカラーのファッションは
そのあたりの感覚を取り入れての
色彩構成ではないかと思います。

そして…

*ここからはネタバレですのでご注意を!*

女優を目指しているものの、
オーディションに落ち続けるヒロインは、
作品前半ではビビッドカラーを身につけています。

しかし、やがてチャンスをつかみ取り、
スターの仲間入りをした後のシーンでは、
モノトーンファッションに変わっています。

このファッションカラーの変化で、
目標に向かう情熱・エネルギーと、
成功者の貫禄や洗練された雰囲気を
表現しているように感じました。

もちろん、色彩だけでなく、
音楽も、演技やダンスも、見どころ満載ですので、
おすすめします。
ぜひご覧ください!




2017年2月9日木曜日

「カラーイメージ講座~ファッション編 」はこんな感じです



ご覧くださって、ありがとうございます!
カラーリスト・色彩講師の千葉真須美です。

全4回で開講中の
「カラーイメージ講座~ファッション編」。
この講座は、配色(色の組み合せ)によって
イメージを表現できるようになることを目標とした講座です。

配色によるイメージ表現は、
インテリア、フラワー、ウェブデザイン などなど
さまざまな場面で活用することができますが、
今回はファッションを取り上げました。

また、この内容は色彩検定1級の「配色イメージ」の章に
ほぼ対応していますので、1級を取得された方には応用編として、
これから受験される方には予習として 活かしていただけます。

さて、3回目となるこの日は、
ファッションのイメージ分析を行いました。
受講者の方々にお持ちいただいたファッション誌の写真を
マッピングによってイメージごとに分類していくという作業です。



最初は大まかに配置して、
その後に一つ一つ
検証していきます。

マップ全体の中で、
どの位置がふさわしいか?

前後左右の写真と比べ、
位置関係は正しいか?

このような点を確認しながら
配置の調整を行います。

そうして完成したのが
下の写真のマップです。


受講者の方々は、
作業の途中で位置関係に迷う
場面もあったようですが、
完成形をご覧になり
納得されたご様子でした。

また、
「楽しかったー!」という
お言葉もいただき、講師とし
て大変嬉しい思いでした。

色は、積極的に使う ことが
大切だと考えていますので、
色の活用につながる講座を
これからも企画していきたいと
思います。




2017年2月5日日曜日

大人のぬり絵/色選びのヒント 5 ~ 色のバランスと面積効果

colored by Masumi Chia

ご覧くださって、ありがとうございます!
カラーリスト・色彩講師の千葉真須美です。

人気イラストレーター 中村佑介さんのぬりえブック
「COLOR ME」 が、昨年 12月に発売されました。
大変な人気で、一時は品切れになったそうです。

上の写真はこの本の一枚を塗った作品です。
とてもキュートなイラストで、楽しく塗り進めましたが
じつは 背景の赤 に大変苦労しました。



色が占める割合や「面積効果」に注意


絵画を題材としたイラストなので、
ルーブル美術館の赤い壁を連想して、
背景を赤にすることにしました。

赤は誘目性(視線を集める力)が高い上に、
進出色(手前に飛び出して見える色)でもあります。
そのため、原色に近い鮮やかな赤を使うと、
見た瞬間に赤が眼に飛び込んで来ることになります。

そこで、あまり目立たないようにと
彩度(色の鮮やかさ)と 明度(色の明るさ)を抑えた
深みのある赤をイメージしました。

ところが、最初に選んだ色鉛筆の赤は塗ってみると明るく、
イメージと違う上に結構目立つ色合いでした。
仕方なく、ダークな赤をその上から2回重ねて
写真の状態まで調整しました。
それでもまだ赤の存在感はしっかりありますね。

ところで、色の存在感は、その色が作品の中で
どのくらいの面積を占めるかという点と大きく関わります。
全体に占める割合が大きければ大きいほど、
その色の影響力は強くなります。

上の作品では壁(赤の部分)の占める割合が大きいため、
壁の色によって作品の印象が大きく変わるはずです。

また、面積は色の見え方にも作用します。
一般的に面積が大きくなるにつれ、
その色の明るさや鮮やかさが増して見えます。
この現象を 面積効果 といいます。
(色彩検定3級範囲)

例えば、壁紙の色をサイズの小さな色見本で選び、
実際に壁に貼ってみたら予想より派手だった
-という事が起こるのは、この面積効果によるものです。

コロリアージュでも、試し書きをして色を選んだのに、
面積の大きな部分は予想と違う!なんて事も…。

色を選ぶ際には、色の占める割合による影響力や
面積効果について思い出してみてください。
そうすれば色選びの失敗は減るかもしれません。。。